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世界を目指す革新の物語

世界を目指す革新の物語

世界一安全なストーブを目指して

Fishboneの物語は、台湾から始まりました。台湾では、料理、お茶の淹れ方、キャンプ、レストランでの利用など、様々な場面でポータブルストーブが広く使用されています。一般的にブタンガスが燃料として利用されていますが、ブタンには0℃以下で気化しない、そして過熱による爆発の危険性という二つの大きな弱点が存在します。

特に、1995年に台中のレストランで発生したガス漏れによる火災事故(Weierkang Club fire)は、64人の尊い命を奪い、この問題に対する深刻な警鐘を鳴らしました。この事故をきっかけに、台湾の発明家である呉建林氏は、より安全なポータブルストーブの開発を決意しました。その結果生まれたのが、安全性、使いやすさ、見た目の美しさ、そして入手しやすい液体燃料を使用する「Fishbone stove FB-02E」です。

彼の会社、彌榮美術製品有限公司では、1997年の設立以来、メタノールを燃料とする液体燃料ストーブの研究開発に専念し、数年にわたるデザインの改良を経て、数々の特許を取得しました。しかし、この革新的なストーブが世界的な注目を浴びるきっかけとなったのは、フィンランドの企業、Jangport Oyとの出会いでした。

Jangport OyのCTO、マッティ・コッキ氏は、フィッシュボーンストーブに市場のニッチを埋める大きな可能性を見出し、2019年に台湾からストーブを輸入しました。しかし、メタノールの使用には有毒性という問題があり、エタノールを燃料とするよう設計の変更が必要でした。エタノールは安全かつ環境に優しい燃料であり、世界中で手に入るため、広範な市場への拡大が見込まれました。

その後、Jangport Oyと呉氏は合弁会社を設立し、エタノールを燃焼するバージョンのストーブの開発に成功しました。この新しいストーブは、屋内外での使用に適しており、市場で唯一のエタノールストーブとして販売される予定です。既に台湾で特許を取得しており、現在、国際特許の申請も共同で行われています。

この革新的なストーブは、安全で環境に優しい未来への扉を開くだけでなく、世界各国での新しいライフスタイルを提案しています。フィッシュボーンストーブの物語は、単なるポータブルストーブの開発を超え、世界中の人々にとってより良い未来を築くための一歩となるでしょう。

Source: Story of Fishbone stoves
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